住まいの豆知識

次世代省エネルギー基準

2016.03.25

省エネルギー基準とは

住宅の省エネルギー基準は、
 昭和55年に初めて制定された基準:通称「(旧)省エネルギー基準」(昭和55年基準)
 平成4年に改定された基準:通称「新省エネルギー基準」(平成4年基準)
 平成11年に改定された現在の基準:通称「次世代省エネルギー基準」(平成11年基準)
の3種類があります。改定されるたびに内容は強化されています。

 そもそも「省エネルギー住宅」とは、家庭におけるエネルギー消費をより少なくして、地球の限りあるエネルギーを守ることを目的としています。家庭におけるエネルギー消費とは、様々な家電製品、暖冷房、給湯などですが、省エネといってもこれらの家電製品の使用を控えるとか、寒くても暖房やお湯を極力使わないとかいうことではありません。(もちろんムダ使いはいけませんが。)室内は快適に保ちながら、使用するエネルギーを少なくできる住宅をつくることが必要になってきます。そんな住宅の仕様を示したのが、上の「省エネルギー基準」です。

 省エネルギー基準の主なものは住宅の断熱化です。家庭で消費されるエネルギーの63%は暖冷房と給湯といわれていますので、住まいの断熱性能を上げることで熱が外に漏れるのを少なくできるからです。

「次世代」省エネルギー基準とは

 ではなぜ3種類もあるのか?最初の基準制定は第二次オイルショック、新省エネ基準への改定は湾岸戦争がきっかけになっていますが、次世代省エネルギー基準が必要となったことがらは、地球的規模の温暖化防止の動きです。
 わが国も協力して対策を取ることが強く求められているなか、確実に二酸化炭素の排出を減らすには、誰でもが採用できる対策を示さなければなりません。二酸化炭素の発生主因である化石燃料をもやして電力や他のエネルギーを得ている割合の多いわが国では、一軒一軒の住宅のエネルギー消費を抑えることが、ゆくゆくは多量の二酸化炭素の排出削減につながります。そのための新たな基準が必要となりました。
 次世代省エネルギー基準では、根本的にエネルギー漏れのない良質な断熱性能を持った住宅の基準となるよう見直し・強化されており、新省エネルギー基準と比較して暖冷房のエネルギー消費量を約20%削減することを目標としています。これは、欧米先進国のレベルとほぼ同じになっています。

次世代省エネルギー基準などの具体的な内容は下記のページもご覧ください。
(財)建築環境・省エネルギー機構
(社)日本建材・住宅設備産業協会

この基準に強制力はありませんが、基準を満たした住宅には優遇措置をとる動きがあります。たとえば住宅金融支援機構では、この基準のほか一定の条件を満たした住宅に優遇金利が適用されたり、新しく定められる「長期耐用住宅」の認定要件には省エネルギー性も検討されていますので、認定されれば登録免許税・固定資産税が一般住宅よりも低い税率になります。また、「住宅性能表示」の「温熱環境」については、次世代省エネ基準をクリアすれば最高ランクの「等級4」、新省エネ基準をクリアすれば「等級3」となります。
 このように、次世代省エネルギー基準などは、住宅の省エネ・断熱性における重要な目安になっています。

 さらに、次世代省エネルギー基準は住まいの省エネルギー性を高めるための基準ですが、視野を広げれば「快適さ」「健康的」「省エネルギー」「耐久性」の4つのキーワードで表される、質の高い住まいを建てることが主な目的となっています。そのための手段として従来よりも一段と高い断熱気密性が求められ、さまざまな住まいづくりの工夫を推奨しています。

◆快適さしっかりと断熱気密化された住宅では、どの部屋でも同じような室温になり、床と天井付近の温度差も小さくなります。つまり、家中がいつでもどこでも快適です。
◆省エネルギー世界水準の省エネルギー率が実現できますので、今までの暖房費と同じくらいの負担で全室暖冷房が可能になります。
◆耐久性基準に従って正しく施工された住宅では、壁体内の結露を防ぐことで構造部材の腐食を防ぎ、住宅を資産として長持ちさせます。
◆健康的断熱気密化された住宅は、温度ストレスのない快適な室内環境が得られるほか、計画換気によって室内の空気を常に正常に保つことができ、健康的な住まいに変身します。

断熱のこれから